ちーやん夜話集 60.私の眼をみはらせた5名

私の眼をみはらせた5名

 札幌地区のローバー諸君が「宗教についてのアンケート」をされたその結果を「ローバーリング」誌から転載された記事を読んで、私はローバー達のあいだに宗教というものが必要だという価値発見をされつつあることに敬意を表します。

 このアンケートの②として「入信の動機」というのがあるが、その中に、「スカウティングを通じて」と答えたのが5名ある。
 私はこの5名という数字に目を見はった! それはなぜか?
 この5名こそ、True scouting(本当のスカウティング)をした人だと思うからであります。
 このアンケートには「信仰する宗教がある」――と答えた者が52名ある。52名中26名は、先祖代々家に宗教があってそれによって入信し、4名は通学している学校がつながっている関係から入信し、2名は自分の身辺の出来事から発心し、あと11名は、はっきり記していないが入信したとある。いまいう5名は、そうした人々とちがいスカウティングを通じて入信したという点、私は、まことに、異色であると思うのであります。
 なお、このアンケートで、宗教をもたない者が20名ある。――ということは、きわめて残念です。
 規約507の(2)によれば、ローバーに上進するには、「明確なる信仰を持っていること」と、なっているから、速やかに、しかるべき、導きに接するよう、申しあげたいのです。このことは、True scoutingへわけいる道だからです。

 さて、私は、この5名のかたがたに申しのべたい。あなたがたのされる奉仕こそ、本当の奉仕だということ。すなわち、信仰の発露からにじみ出た感謝の念が、奉仕となることであります。それで奉仕というものを、宗教からでなく、道徳の次元での美徳あつかいしたり、形だけで精神(信仰心)のともなわない奉仕をしつつある人々に、これがほんとうの奉仕だという、りっぱな、お手本を示していただきたいのです。それが本当の教育というものです。
 宗教信仰をともなわない教育は真の教育ではない――という思想が、昨年後半頃、日本の教育界にやっと生まれたようです。(注――日本連合教育会刊行書による。)
 ベーデン・パウエル卿は、60年の昔、すでに、青少年の教育にそれを説きました。
 それがスカウティングというものなのですね。――

(昭和43年12月7日 記)


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